【IEO準備】審査前に押さえるべき5つのポイントと外部パートナー活用法
IEOとは、仮想通貨(暗号資産)取引所主体でプロジェクトのトークンを発行・販売する資金調達法です。
信頼性が高く効果的な集客が見込めますが、一方でプロジェクト側には組織体制の整備や外部パートナーの選定、適切な価格設定、コスト・スケジュール管理など、多くの準備作業が求められます。
今回はIEO審査に向けてプロジェクトが行うべき準備を5つのポイントに分けて解説するため、実施を検討している場合はぜひ参考にしてみてください。
目次
IEOとは?プロジェクトの新しい資金調達手法
IEO(Initial Exchange Offering)とは、端的に言えば、トークンの発行・販売を仮想通貨(暗号資産)取引所に委託する方法です。
まずプロジェクトオーナーがIEOを申請し、審査に合格すると、仮想通貨取引所主体でトークンの発行や販売が実施されます。
ICO(Initial Coin Offering)に比べると信頼性が高く、より多くの集客が見込めることから、注目を集めている資金調達法の1つです。
国内においても、コインチェックやGMOコインなどの仮想通貨取引所で数多くのIEO実施例があります。
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ICOとはプロジェクトが直接トークンを発行・販売する資金調達法であり、IEOは仮想通貨取引所が発行・販売の主体となる仕組みです。
さらに、IEOでは原則として仮想通貨取引所での上場を前提として販売スケジュールなどが組まれますが、ICOでは上場は確約されていません。
これに伴い、ICOはIEOに比べると投資家保護の側面も弱い傾向にあります。
総じて、ICOはIEOに比べてトークン発行のハードルが低い分、比較的手軽に実施可能です。
一方で、IEOのように仮想通貨取引所の介入がないため信頼性の面で懸念点が多く、中には詐欺プロジェクトや実態のないプロジェクトが混在するなど、特に投資家側のリスクが大きいと言えます。
国内におけるIEOの事例
日本国内では、2021年にコインチェックでパレットトークンがIEOを実施したのを皮切りに、着実に実施例が増加しています。
2026年3月時点において、IEOの実施例がある国内の仮想通貨取引所は、「コインチェック」「GMOコイン」「bitFlyer」「BitTrade」「DMMビットコイン」の5カ所です。
なお、FiNANCiE(フィナンシェ)でも2023年2月21日から3月7日にかけて「コインチェック」でフィナンシェトークン(FNCT)のIEOを実施し、同年3月16日に上場を果たした実績があります。
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IEOは資金調達法として人気を集めていますが、中には実施後に大幅な価格下落やプロジェクトの凍結が見られた失敗例もあります。
こうしたリスクを避けてIEOを成功に導くには、入念な準備が何よりも重要です。
ここでは、IEOを成功させるための5つの準備ポイントについて見ていきましょう。
- 取引所選定の重要性とチェックポイント
- 発行体の組織体制の整備
- IEOに必要な外部パートナー
- トークン価格設定の考え方
- 準備コストとスケジュール管理
取引所選定の重要性とチェックポイント
1つ目の準備ポイントとなるのが、どの仮想通貨取引所でIEOを実施するかという点です。
前述のように、日本国内で実績がある仮想通貨取引所は5カ所で、基本的にはこの中からIEOの実施先を選んでいくことになります。
特に「ユーザー数と預かり資産の規模」「ブロックチェーン対応状況」「サポート体制の範囲」「手数料体系と取引所の特徴」を考慮すると、IEOの成功確率の向上が見込めます。
ユーザー数と預かり資産の規模
仮想通貨取引所によって、利用ユーザー数や預かり資産の規模が異なります。
利用ユーザー数とは仮想通貨取引所の利用者数を指し、預かり資産は取引所に預け入れられている日本円や仮想通貨の総額です。
端的に仮想通貨取引所の規模を示しており、利用ユーザー数や預かり資産が大きい取引所ほど、多くの投資家に利用されています。
つまりIEO実施時も多くの参加者が期待できるため、取引所選定において特にチェックすべきポイントと言えます。
ブロックチェーン対応状況の確認
ブロックチェーンとはトークンを発行・管理する基盤技術で、「ポリゴン」「イーサリアム」「ソラナ」などが代表的です。
IEOでは原則として実施後の上場を前提としており、いずれかのブロックチェーン上でトークンを発行することになります。
しかし、仮想通貨取引所によって対応可能なブロックチェーンには違いがあり、希望のサービスに対応していない場合は、IEO実施後の上場ができません。
そのため、仮想通貨取引所ごとの対応ブロックチェーンも要チェックポイントとなります。
サポート体制の範囲
IEO実施前後には、価格割れやシステム障害などさまざまなトラブルが想定されます。
プロジェクト側だけですべてに対応するのは難しいため、問題発生時における仮想通貨取引所側のサポート体制や対応範囲は重要な選定ポイントです。
仮想通貨取引所によっては、IEO準備に不可欠なマーケティングやPRを支援してくれる場合もあるため、必要なサポートを受けられるかにも注目することをおすすめします。
手数料体系と取引所の特徴
基本的にIEOを実施するには、プロジェクト側から仮想通貨取引所への手数料の支払いが必要です。
手数料の体系は、「調達金額の〇%」といった従量課金制や、「一律〇〇円」のような固定制など、仮想通貨取引所によって差があります。
これらの手数料を差し引いた金額が収益となるため、IEOの手数料がプロジェクトに与える金銭的な影響を考慮しながら、仮想通貨取引所を選定しなければなりません。
さらに、仮想通貨取引所ごとの利用ユーザーの傾向にも注目しましょう。
「プロ投資家が多い」「初心者向け」など利用ユーザーの特性・傾向と、プロジェクトのターゲット層がマッチしているかも重要な選定ポイントです。
発行体の組織体制の整備
2つ目の準備ポイントは、発行体(プロジェクト)の組織体制の整備です。
IEOの実施では、トークンの信頼性を担保するために、金融庁の規則やJVCEAの自主規制規則に従う必要があります。
その一環として、発行体における組織体制の整備は不可欠です。
ここでは、具体的な準備ポイントを見ていきましょう。
代表者権限の分散とガバナンス体制
JVCEA(一般社団法人日本暗号資産等取引業協会)はIEOの実施にあたり、「新規暗号資産の販売に関する規則」を設けています。
内容は多岐にわたりますが、とりわけ重要なのが、発行体・プロジェクト側の意思決定の透明性を担保するような仕組みです。
具体的には、次の3つを意識した体制整備が求められます。
取締役会と内部統制の重要性
発行体の組織体制整備において最も基本となるのが、経営陣における適切な意思決定の仕組み作りです。
特に小規模スタートアップ企業などは1人に権限が集中しがちですが、これらは代表者による独断専行や不祥事の温床になりかねません。
そのためIEO審査においては、社内取締役会の設置などに代表される、意思決定に対して牽制が効くような体制整備が重視されています。
これに加えて、社外取締役・監査役を設置して内部統制の強化を図ることや、議事録を作成して意思決定のプロセスを記録に残すことも大切です。
営業部門と内部管理部門の分離
売上を追求する営業部門と、リスク・コンプライアンスを監督する内部管理部門の距離が近い場合は、なれ合いの関係になりやすく、監督体制の機能不全に陥る懸念があります。
例えば、営業部門が売上のためにコンプライアンスに違反していても、内部管理部門が見て見ぬ振りをするといったケースが代表的です。
こうしたリスクを回避するために、営業部門と内部管理部門は明確に分離させ、管掌役員についても重複は避けなければなりません。
内部統制が曖昧な組織は不正行為のリスクが高いと判断され、IEO審査に落ちる可能性があるため、しっかりとした体制整備が求められます。
資金管理・情報管理体制の構築
資金管理・情報管理体制とは、端的には、プロジェクトの収益や状況を投資家たちに正確に伝えるための仕組みです。
例えばIEOで調達した資金の管理方法や使用用途に加えて、発行トークンやウォレットの管理方法なども明確にし、プロジェクト参加者たちの投資資産を安全に運用できる体制を整備しましょう。
情報管理の取り組みとしては、ホワイトペーパーの作成や事業進捗の定期的な報告などが代表的です。
IEOに必要な外部パートナー
3つ目の準備ポイントは、IEO実施に必要な外部パートナーの選定です。
特にIEOの審査では法務・財務・技術・マーケティングにおいて厳しいチェックがなされるため、各分野の専門家の協力を仰ぐことが確実です。
どのような専門家に何を依頼すべきか、具体的に見ていきましょう。
法律事務所・弁護士による法務チェック
法律事務所・弁護士などの外部パートナーはIEO実施にあたって不可欠な存在であり、関連法令や規則を遵守できているかをチェックしてもらいます。
主な依頼内容は、資金決済法や金融商品取引法、JVCEA規則への対応をはじめ、発行トークンやホワイトペーパーの違法性チェック、各種契約書のレビューなどが代表的です。
特に仮想通貨やIEOに関する法令・法律は多岐にわたるため、自社に法務部門がある企業でも、外部パートナーと連携して法令遵守体制をさらに強化する必要があります。
会計事務所・監査法人による財務・税務管理
会計事務所・監査法人には、プロジェクト資金の使い道が適切であるかや、トークンの会計・税務のチェックとサポートをしてもらいます。
特にトークンは税務処理が複雑なため、税務の正確性を保つためにも、必ず外部パートナーとして協力を仰ぎましょう。
また、外部の会計事務所・監査法人を入れることで、外部機関による適切な監査体制を証明できるため、IEO審査が有利に進む可能性があります。
ブロックチェーン開発会社とスマートコントラクト設計
ブロックチェーン開発会社は、安全なIEO実施を技術面からサポートします。
例えばトークン発行をはじめ、専用プラットフォームやアプリの開発といったブロックチェーン上のプログラム開発などが代表的です。
スマートコントラクト設計は高度な専門知識や万全のセキュリティ対策が求められることから、ブロックチェーン開発に実績のある専門会社とパートナーを組むと心強いでしょう。
セキュリティ監査会社による脆弱性確認
セキュリティ監査会社は、設計したスマートコントラクトに問題がないかをチェックします。
これらに異常がある場合は、IEO実施後に個人情報漏洩や資金流出などの重大インシデントにつながりかねません。
そのため専門の監査会社にチェックを依頼し、脆弱性の有無やリスクなどを診断してもらいます。
仮想通貨取引所によっては、IEOの審査に際して、第三者の監査会社によるセキュリティ評価の提出を義務づけています。
PR・マーケティング会社による認知拡大
IEOを成功させるには、まず一般投資家や仮想通貨取引所ユーザーにプロジェクトを知ってもらうことが大切です。
具体的な施策としてはプレリリースやSNSでの情報発信、キャンペーン、他プロジェクトとのコラボなどが挙げられます。
プロジェクト内で専門人材を確保するのが理想的ですが、難しい場合はPR・マーケティング会社に協力してもらいましょう。
特にWeb3や仮想通貨に詳しい専門業者に依頼すると、効果的なプロモーションが期待でき、IEOにも多くの参加者が見込めます。
IEOコンサルティング会社によるトークノミクス支援
トークエコノミクスとは仮想通貨における経済モデルのことで、端的にいえば、エコシステム内でトークンが価値を生み出すための仕組みです。
最初にしっかりとしたトークエコノミクスを設計することで、プロジェクトと投資家の双方にメリットのあるトークン発行が可能になり、ひいては持続可能なプロジェクトにもつながります。
トークエコノミクスの設計には、トークンの配布量や価格、インセンティブ設計といった膨大な作業が含まれており、知識が乏しい人には対応が難しい領域でもあります。
そのため、IEOに詳しいコンサルティング会社を外部パートナーに引き入れて、専門家の見地からアドバイスをもらうことが重要です。
トークン価格設定の考え方
4つ目の準備ポイントはトークン価格の設定です。
投資家と仮想通貨取引所の双方に受け入れられるような、適正なトークン価格を設定しましょう。
ここでは、特に重要なポイントを解説します。
IPOとの比較
IEOはIPO(Initial Public Offering)の仕組みとよく似ている一方で、明確な価格設定モデルは確立されていません。
また、IPOにおける株式の価格設定は事業の価値やキャッシュフローをベースにするのに対し、IEOではエコシステムの価値に左右されます。
エコシステム内での利用価値や需給がトークン価格の設定根拠となるため、最初に実現可能かつ持続可能なトークエコノミクスを設計しておく必要があります。
取引所審査での妥当性確認
仮想通貨取引所のIEO審査では、投資家保護の観点から、「その価格で本当に投資家たちが購入するのか」や「エコシステムが無理なく回っていくか」などの妥当性が厳しくチェックされます。
算定価格は市場の動向と比較しながらチェックされるため、プロジェクト側もこれらを意識した価格設定が重要です。
あわせて、トークエコノミクス設計や事業計画、類似事業との比較も交えながら、その算定価格が妥当であることを客観的に証明できるように資料を準備しておきましょう。
価格設定における注意点
価格設定は高すぎても低すぎてもリスクがあります。
例えば価格設定が相場よりも高すぎる場合は、IEO実施後に初値が公募価格を下回る「公募割れ」を起こす可能性があり、投資家保護の観点から問題視されやすいです。
一方で、価格が低すぎる場合は初期投資家たちによる利益確定売りが生じやすく、トークン価格の安定性が失われ、プロジェクトの持続性にも影を落としかねません。
投資家保護とプロジェクトの持続可能性の双方が両立するような価格設定が求められます。
準備コストとスケジュール管理
5つ目の準備ポイントは、IEO実施にかかるコストやスケジュールの管理です。
これまで見てきたように、IEO実施には発行体の組織整備や外部パートナーの選定など、さまざまな準備が必要です。
どれくらいの費用・体制・期間が必要なのかを逆算しながら、計画的に準備を進めていきましょう。
プロジェクト規模に応じたコストの目安
IEOの実施費用はプロジェクトの規模によって異なるものの、一般的な目安は数千万円~数億円程度です。
内訳としては、仮想通貨取引所に支払う手数料や外部パートナーへの報酬、事前のマーケティング調査費用、審査手数料などが挙げられます。
膨大な費用がかかるため、IEO実施を決めた時点で、早めに資金調達に動くことが望ましいです。
社内人員と外部パートナーの役割分担
ほとんどのプロジェクトは外部パートナーと連携することになるため、社内人員との役割分担を明確にしておくことも大切です。
業務の振り分けに加えて、責任の所在も明らかにすることでスムーズな連携を図りやすく、トラブル発生時にも早期の解決につなげられます。
自社の社員規模を考慮しながら、効率的なプロジェクト運営につながるチーム体制を整えましょう。
準備期間の目安
IEO実施を決めてから実施するまでの期間の目安は1年です。
プロジェクトの規模によっては、2年以上の期間を要するケースも見られます。
決定後に即実施できるわけではないため、特にIEO実施時期が明確に決まっている場合は、カレンダーを逆算しながら準備を進めていく必要があります。
関連記事をチェックIEO審査前に押さえるべき5つのポイント|まとめ
IEOとは、仮想通貨取引所主体でプロジェクトのトークンの発行・販売を行う資金調達法です。
仮想通貨取引所の審査を経るため信頼性の高いプロジェクトを運営できますが、一方で審査に通過するには発行体の組織体制の整備や外部パートナーとの連携など、さまざまな準備が求められます。
FiNANCiEでコミュニティトークン(CT)のIEOを検討しているプロジェクトオーナーは、ぜひ今回ご紹介した5つのポイントを参考にしてみてください。
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